NFTに関するよくある間違い
2022/03/22
2022/03/22 現在、XRP Ledger にて NFT を実装するための規格(XLS-20d)が提案されています。
この規格がバリデータの承認を経てメインネットへリリースされた場合、XRPL にて NFT の発行や売買が可能となります。
今回はその NFT に焦点を当て、よくある間違いについて解説を行います。
[注意] この内容は筆者の個人的な考えであり、内容が間違っている可能性があります。
間違い 1. NFT の画像には唯一性がある
一般的に NFT には画像等のコンテンツが紐付けられます。
その画像は単なるデータであり、ダウンロードして印刷も出来ますし、同一ブロックチェーンにてその画像を別の NFT として発行することも可能です。
つまり NFT に紐付けられたコンテンツには唯一性はなく、唯一性があるのは NFT に紐付けられたのトークン IDです。
太郎 さんが NFT-ABC を所有しているという事実は、「NFT-ABC の所有者は 太郎 さんの管理下にあるブロックチェーンアドレス」ということに過ぎないのです。
// 以下のようにTokenIDが異なるが同じURIが設定されている2つのNFTは同時に存在し得る
{
"TokenID": "000B013A95F14B0044F78A264E41713C64B5F89242540EE208C3098E00000D65",
"URI": "ipfs://bafybeigdyrzt5sfp7udm7hu76uh7y26nf4dfuylqabf3oclgtqy55fbzdi"
}
{
"TokenID": "000A013A95F14B0044F78A264E41713C64B5F89242540EE208C3098E00000D66",
"URI": "ipfs://bafybeigdyrzt5sfp7udm7hu76uh7y26nf4dfuylqabf3oclgtqy55fbzdi"
}
// 以下のようにTokenIDが同じNFTは(同一ブロックチェーンには)存在し得ない
{
"TokenID": "000B013A95F14B0044F78A264E41713C64B5F89242540EE208C3098E00000D65",
"URI": "ipfs://bafybeigdyrzt5sfp7udm7hu76uh7y26nf4dfuylqabf3oclgtqy55fbzdi"
}
{
"TokenID": "000B013A95F14B0044F78A264E41713C64B5F89242540EE208C3098E00000D65",
"URI": "ipfs://piwgajfwf823b32rfbb2q7az1399kzka3kvazd179oa11rr073baq12ryum"
}
そのため、コンテンツに紐付いた NFT には唯一性はないが、NFT に紐付いたコンテンツには唯一性があるとも言えます。
間違い 2. NFT で本物と偽物が判別できる
そもそもの話にはなりますが、何をもって本物・偽物を判別するかによります。
一般的な本物・偽物(作者が作成したコンテンツのみ本物)という意味では NFT では本物・偽物を判別することは出来ません。
XRPL 上で発行された NFT のコンテンツが ETH 上で発行された NFT のコピーであるかどうかプロトコルレベルでは判別出来ないからです。作者が同一のコンテンツを XRPL 上で 2 つ NFT 化することも可能です。
XRPL はオープンなブロックチェーンであり、誰もが自由に(自分に著作権がないデータでも)NFT を発行できてしまいます。つまり、NFT 化されていないコンテンツを他者が勝手に NFT として発行することも技術的には可能なのです。
XRPL 内において最初に発行された NFT のコンテンツが本物と定義する場合、XRPL 内でそのコピーを NFT として発行した場合は、トランザクションの順番から偽物と判別することは可能です。
// 以下のように他者の作品をNFT化することも技術的には可能
// とあるクリエイターの作品(作者本人はNFT化していない)
cat.png
// 悪意のある他者が許可を得ずにNFT化
{
"TokenID": "000B013A95F14B0044F78A264E41713C64B5F89242540EE208C3098E00000D66",
"URI": "cat.png"
}
これらの解説はあくまでブロックチェーンレベルの話であり、各 NFT プロジェクトがアプリケーション内で解決する可能性があります。